朝日出版「あの人、この町、その言葉」





<川口洋正さんと長崎で>

台風一過の長崎精霊流し、昼間から爆竹でまるで市街戦。精霊船もバスほどのものから乳母車のようなものまで、、。その寺町皓台寺で川口鼈甲店のご主人と、、、、、、。べっ甲はワシントン条約で素材が輸入できなくなり、そこにプラスチック製のべっ甲も現れたり、、、、、、。「職人がいても素材がなくなる。誰も職人を守ってくれません。伝統工芸を守ろうという動きがあってもワシントン条約については黙ってしまいます」曲尺や鯨尺を禁じたとき通産省も同じだった。尺の仕事を守れと言いながらメートル法で仕事をしろだもの。話の最中も爆竹と銅鑼。耳がおかしくなって帰京、TBSへ。年に一度の「ニュース23」筑紫哲也さんとの問答の途中、耳に残る爆竹後遺症でトンチンカンになったりした。





<昨日の皿うどんと長崎で>

長崎浜町通りの老舗、川口鼈甲店。店は閉じるが仕事は残そう、伝統工芸品べっ甲細工の職人の技術は伝えようという集会。あらためてべっ甲細工の魅力を知る。その色、その艶、その優しさ。会が終わって川口さんと銅座のとある小料理屋で食事、献立に「昨日の皿うどん」 文字通り昨日の皿うどんを温めて出す。家庭料理ではよくあることだがこれがめっぽううまかった。べっ甲職人たちの将来を考えずにワシントン条約を認めてしまった昨日の政治家の悪口を言いながら。