1991年5月 猶予期間を経て玳瑁を輸入禁止にすることが決まったという一報が官邸に伝えられたとき当時の総理大臣  海部俊樹氏から 「600人足らずの小さな業界のためにアメリカと話し合いをする必要はない。転職すればいいだけのことだから」と一蹴されました。こういう現場の生々しい内輪話は外部に漏れにくいのですが 自民党総務会長の長崎選出代議士 西岡武夫氏がその場にいたのですぐさまわたくしの耳にはいってきました。西岡氏はわたくしの父の古い友人でした。選挙で落選した経験があったからでしょう。総理総裁になりたいという政治家としての野心を心の奥に抱きながら地元優先で動いてくださる方でした。「べっ甲なんて要らない」と人々から忘れ去られて捨てられるのであれば自分の力不足を恥じて受け入れます。大切なものを理不尽な国家権力で奪われたときの怒りと悲しみ 戦争で人生を狂わされた人たちの無念 敵の戦艦に特攻することを命じられた人たちの悲哀 そのような命令を平然と下した国家の中枢で君臨していた人たちの許されない罪  つきつめていくと明治時代以降 日清日露 第一次大戦と勝ち戦を称賛して提灯行列をして歓喜の声を挙げていた日本国民すべてが犯罪に加担していたのではないかということになります。そうなると自分に非があるとき人の非を責められるのか ということになってしまい ます。人は善の心と悪の心をもっています。物事はすべて多面性がありますのでその解釈はとても難しいと思います。
それでも事業に失敗して自らの命を絶つ人は毎年たくさんいます。経済戦争も戦争です。

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