1997年3月 永さんは東京から空路長崎に来てくださいました。100名ほどの小さなトークショーをやっていただきました。

 今日 どんなトークショーをするか という打ち合わせ 
  川口とはなんにもやっていないんです。
 ぼくにまかせてくれる。
 いいですよ
 これでおしまい
 だから ここで何を話してもいいんです。
 きょうは川口鼈甲店のトークショー
 浜の町の デパートのそばのあのお店
 なくなった というか 潰れちゃったでしょう。
 それで ここに集まっているみなさんが いま いちばん 知りたいことは
 どうして川口鼈甲店が潰れちゃったのか
 ということなんじゃありませんか。
 ぼくもそうなんです。
 でも つい1ヶ月ちょっと前に潰れたお店のこと
 川口にきいちゃいけないんじゃないか。
 いくらなんでもそれは悪いんじゃないか
 と思いますよね。
 でも 知りたいですよね。
 新聞発表だけじゃよくわからないですよね。
 売上不振というのはわかるけど。
 それにみなさんは川口の友達じゃないから直接きけないでしょう。
 僕は川口とは友達だから きけるんです。
 親しき仲にも礼儀あり というでしょう。
 友達でもきいていいことと悪いことがある
 でも 何でも話せるのが友達
 だから 皆さんの代わりに 僕が 全部きいちゃいますね。
 それをききたいから ぼく 東京から来たんですから。
 きょうのトークショーのテーマを発表します。
 川口鼈甲店 危機管理の欠落  どうして潰れたのか
 について検証する会 
 川口は いま 受付に立っていて会場にいないから
 いまのうちにテーマを決めておきましょう。
 傷を負って困っている友達がいたら
 その傷に情け容赦なく塩をこすりつけましょう。
 傷が癒えてからじゃなくて
 痛がって苦しんでいるときにその人の傍に行って
 生傷に塩をすり込んでいく。
 痛いでしょうね。
 でも 僕は痛くないからいいんです。
 そのために僕は東京から塩を持ってきたんだから。
 いいんですよ。
 そのほうが傷は早く治るんだから。
 川口鼈甲店 といえば 長崎では老舗でしょう。
 老舗というものは 商品を売るだけではなくて
 思い や 心 も一緒にお見せするものでしょう。
 だから 潰れたときにはその理由もさらけ出すことで
 地元の人達に教訓を遺す
 それが 老舗 というもの
 だから 川口に 遠慮しちゃダメなんです。
 そして みなさん 家に帰ったら 周りの人に川口が潰れた理由を
 話してください。
 閉店して間もない 生々しいときに
 その失態を笑いにできる
 それは 川口鼈甲店の再生がはじまっているということですから。

トークショー終了後 永さんと個人的に語り明かしました。

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