「川口は転地療養で軽井沢で暮らしている。べっ甲のお仕事を再開しようとしている。今はべっ甲といえば長崎 でも近い将来 べっ甲といえば軽井沢と云われるようになる。だって 僕の友達の川口が軽井沢にいるのだから」 という永さんの発言を日本ダイナースクラブにお勤めだった軽井沢在住の松井久氏から伺いました。 「日本を代表する第一級の文化人からこれ以上ないという言葉でエールをもらっておいて決起しなければ漢(おとこ)じゃない」 と言われました。「永六輔は天才 凡人である自分が死ぬ気でぶつかってもあの人のひらめきにすら勝てない。あの人の口三味線に乗って踊らされてはいけない。永さんには悪気はない。善意だ。でもそれだけではない。美談に酔ったメディアが動く 広報力は天下一 軽井沢でお店を出せばおそらくお客様はそれなりに来てくださる でも一過性のブームはある日突然 凪のように終わる。そして再び閉店することになる。 永さんから離れなければ 殺される」 ということで永さんのエールを無視しました。その根源には橋本さんとの酒席で 「水原弘は永さんからの宿題に答えられずに酒に溺れて死んでいった。永さんに認められて 永さんの期待に応えられず 永さんからの宿題をうまく自分のものにできなくて潰れていった人間を何人も見てきた。永さんと付き合うということは命のやり取りを強いられるほど過酷なもの。永さんは厳しくて怖い人間だから。 永さんと深く付き合うのだったらそれ相応の覚悟がいる。適当に付き合ってイイとこ取りをして利用しようという相手の腹が見えると永さんは怒って強烈な仕返しを仕掛けてくる」 という一言を伺っていたからです。 「病に倒れても立ち上がってべっ甲に関わって生きていきます」と豪語しておきながら 「頑張れ川口…」 と言われたら逃げ出す。わたくしは情けないへなちょこな人間です。

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