三才図会 玳瑁の記


〔和漢三才圖會』巻第四十六 介甲部
〔?瑁〕代昧〔玳瑁〕タイムイ △俗に亀甲を以て鼈甲と名づくる者甚だ誤なり。

玳瑁は海洋深き處に生む。亀に似て殻稍や長く、背に甲十二片有り。
黒白斑の文相錯りて成る。 其のT辺缺けて鋸の歯の如く、足無く四鬣 、有り、前長く後短し。皆鱗に斑文有りて甲の如し。性再びは交はらず。卵を望んで影抱す、之れを讃卵と謂ふ。但し老いたる者は甲厚くして色明らかなり。小なる者は甲薄くして色暗く、其の大なる者は得難く、小なる者は時時有り。取る時必ず倒に其の身を懸けて、滾醋を用ひて之れを?てば、則ち甲遂に片げて手に應じて落下し、煮柔して器を作る。治むるに鮫魚の皮を以てし、瑩くに枯木の菓を以てすれば、即ち光輝く。
○甲(甘寒)の毒を解し熱を清すの功、犀角に同じ。(薬に入るるに生なる者を用ふれば性味全し。既に湯火を経れば即ち用に堪へず。預め痘を解す。玳l瑁・犀角(各々生にて磨汁一合)和渇キ服すること半合、日に三服すれば則ち未だ發せぎる者は内消し、巳に發する者は稀少なり。
按するに?瑁の甲、丈匣・香盒を飾り、櫛・笄・みみかき等を為る。黒紫色にして日に映じて之れを見れば、白赤黄の樗文有り。艶美愛すべし。然れども脆くして折損し易く、繼補し難し。近頃、工人櫛歯の折るる者を継ぐに、聊かも其の痕を見ず。但だ炙温め之れを接ぐのみ。  (『三才圖會』の内玳瑁の説のみ此に出す。

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