爪裏の記


爪真の位、落と同じく替以て定む。
玳瑁縁甲の白身を取りて跡の黒き処を爪裏と云ふ。其の性惣て片肉なり。大爪の裏厚く、價宜し。中爪の真之れに次ぐ。小爪の裏薄く又次ぎなり。都て落よりは其の位劣れり。斑有り爪裏は斑有り落と同じく用ひる。大爪黒裏、先年四五替位。天保一二年頃拾五、貮拾替なり。小爪黒裏、先年壹貮替、天保一二年頃四五替位なり。○代呂物に作ること甲落と同じく用ひる。
○爪裏と云ふは玳瑁亀脊面添へ縁甲の黒身なり。脊添へ方故、爪裏にて然るべし。但し服に添へ方は白身にて貴重し。脊添へ方は黒身にて貴からざる故に爪裏と云ふ歟。表裏の説詳らかならず。然りと謂ふも爪脊面黒身を、?瑁職都て爪裏と通名す。依って爪裏にて言はば足るべし。

先頭のページ 前のページ 次のページ >|