手板の記  次に図す

長崎より大坂五軒問屋へ差送る荷物送り状を手板と云ふ。又江戸井せて諸国より、商人長崎へ罷り越す。長崎商人より直買の荷物へは必ず遠国送り手板添へ來る。若し手板之れ無き荷物は扱ふべからず。遠國送り手板左に鴬す。

   手板
巳三番船御調御拂の品、長崎商人松崎屋與之助より買ひ請け
一極上項字鼈甲    五斤
午貮番割、高木作右衛門様御頼の品同断
一右同銘       貮斤五合
同割同断
一極上球字同     貮斤五合
同割福田源四郎殿御願ひ請けの品
一右同銘       壹斤五合       
   〆 入合 壹箱
右荷物此の度御改を請ひ、其の許へ賣渡し申候ところ、実正なり。参着次第、其の御地御役人への仰せ出だされ御改め請はされ候上、荷物御請け取り成さるべく候、右御改め相済み候はば、其の旨此の手板に御裏書仰せ請はされ、此の手根此の方へ御差し返し成さるべく候。御當地描りの御役人へ相納め申し候。勿論荷物海上の儀は御法と為すべき者なり。仍って送り状件の如し。
                          長崎酒屋町
文政五年午七月
                                 江崎安太郎 ?
     江戸両国吉川町
         上総屋床助殿

手根此くの如し。仙花に似たる
立紙へ相認む之れ有り。尤も
荷数・商賣人の名前
などは皆遣はすべし。是れは
本店主人長崎へ参る
節、買ひ請け、荷物へ添へ、
手根にて其の儘写し置くところなり。
 表書の通り之を御届候、以上
   午七月廿二日 長崎 宿老 ?
          手板突合印 ?
名當外に白紙之れ有り、
 其の裏へ左の通り
 裏書致し、宿老奥印
 之れ有るなり、
       
        裏書

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