笹亀の記


玳瑁の小亀を笹亀と云ふ(日本の亀をゼニ亀と云ふ如し)。笹亀大さ七八寸より壹貮尺位まで、笹亀甲爪異名インタラ甲爪と云ふ(インタラと云ふは唐音歟、蘭音歟、未だ詳らかならず)。亦一名先嶋甲爪と云ふ、(是れは其の産國を云ふことにて琉球國西の方、属嶋八重山と云ふ嶋有り、畷地にて此の邊にて捕る故に、琉球の先島と云ふことなり)此の甲爪、唐方よりも舶來せり。尤も玳瑁同性の物なり。
○右甲爪曇て黄色なり。俗にドミルと云ふ熟き鉄箸を以て、挟み打つ時は、色合能く潔て明らかなり。○素性上中下有りて一ならず。○斑立指斑なり。○穢れ無し。砂摺れ瑕も之れ無し。○聊かつや有りて奇麗なり。
同甲の圖  次に附す。 

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